Home > Ⅲコラム > 舞台の原点

舞台の原点

本公演「デパーチュア」のフライヤー裏面の代表コメントです。
字数の関係ですごいカットしたのですが、原文となります。

今日は昼過ぎから雨が降りまして、ちょっと喫茶店によって雨宿りをしました。
止まない雨に軽く苛立ちを感じながら、結局は雨の中、電車へと急ぎます。
自分は好んで地下鉄を使います。
何故でしょうかね?なんとなく景色が見えない分落ち着くからなのか?
とにかく、最寄の駅に着いたころには雨が上がっていました。
時刻は夕方。
それは昔、衛星テレビでやっていた「ボブの絵画教室」の中で描かれるくらいの絵画のような光景でした。

筆舌しがたいのですが、描写しましょう。
雨は上がり、雲はまだ空に立ち込めているものの、太陽は雲を照らし、オレンジに輝いてます。
そして、その雲海の、ところどころの切れ間から強い太陽の光が差し込んでいます。
雨が上がったからでしょうか。空気は澄み渡り光の筋までもが見えそうでした。
空の低いところでは、薄っすらとした雲が凄いスピードで風に流れていきます。
あちこちの樹木や雨どいから水の落ちる音が伝わってきます。
交差点や人々の喧騒も終わった雨を踏む音を交えて明るく鳴り響いているように聞こえます。
ビルとビルの合間の広小路から、しばし足を止めて見入ってしまいました。
「自然って素晴らしい!」なんていうチープなコピーライトしか思いつかないのだけれども、そんなコピーが入っていていても許されるような光景でした。
きっと詩人たちならばその素晴らしさを言葉で表現したでしょう。
画家たちなら筆を持って、舞踏家たちならばその身を使って、そして音楽家たちならば音を持って。
そう考えていったとき、改めて何を舞台で伝えたいのかということにつながって行きます。

もう今から5年位前の話になります。
「観客をHAPPYにする舞台を創る!」ということを斎藤は某雑誌のインタビューにて言ってました。
その志は今も変わらず…なのですが、具体的にはどういうことかは常に試行錯誤の繰り返しです。
自分が描いていきたいなと思うのは、今日出会った素晴らしい光景を伝えていくというよりは、その光景を見て感動してしまった自分について。
まぁ、「自分」って言うよりは、そうやって感動しちゃうような「人間」。
多分、ちょっと立ち止まればそんなふうに感じる人々はたくさんいるし、共有できる感覚だなって思います。
「ぼくらはみんな生きている!」
口に出すのは恥ずかしいかもしれないけれど、これを感じることができれば身体に力がみなぎってきます。
「観客をHAPPYにする舞台を創る!」ということを、今では「生命感を伝える」ということで実現させようと、取り組んでいます。

いま皆さんがやっている仕事は、それをすることで何かを伝えているんですよね。
志があり、それに取り組む。
自分にとっては、上に書いたことが仕事であり、私の舞台をやる原点なのです。

※「ボブの絵画教室」について
DVDが出ているようです。欲しいなぁ~。
本当に素晴らしい番組でした。

Home > Ⅲコラム > 舞台の原点

検索
Feeds

Page Top